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ENO
宇宙工学出身ガジェットブロガー
ガジェットに命を注ぐ26歳。
かゆい所に手が届くレビューをします。
デスク環境を育てるのが趣味。
カメラはX-S10を使っています。

■経歴
工学部 機械・航空工学科 卒業
大学院で航空宇宙工学を専攻
2020年大学院在学中にブログを開設
本業はシステムエンジニア

宇宙工学ってどんなことを学ぶの?分かりやすく元大学院生が解説

【宇宙工学ってどんなことを学ぶの】_タイトル
航空宇宙に興味がある学生
宇宙工学を勉強してみたい!

でも…

航空宇宙に興味がある学生
そもそも宇宙工学ってどんなことを学ぶんだろう…
航空宇宙に興味がある学生
難しそう…自分でも勉強できるかな…

こんな疑問に答えます。

ENO

私は名古屋大学大学院で航空宇宙工学を専攻し、今はシステムエンジニアとして働いています。

本記事の内容

そもそも宇宙工学って何?

めちゃくちゃざっくり言うと、「宇宙開発のための工学」です。

Wikipedeaでは次のような説明がされています。

宇宙工学は、宇宙開発を行うことに関連した工学の一分野である。地球の大気の外側を飛行するための理論および技術であり、言うなれば、宇宙飛行の科学技術である。

引用:Wikipedia

「言うなれば、宇宙飛行の科学技術である。」
つまり、宇宙で飛ぶための学問です。
「工学」ですので、飛ぶのは「人」ではなく「機械」です。

 宇宙開発に必要な工学です

おそらく「航空宇宙工学」という言葉として聞きなじみがあるのではないでしょうか。

航空宇宙工学 = 航空工学 + 宇宙工学

なので、宇宙工学は航空宇宙工学の一部です。

宇宙工学は、人類が宇宙開発をするにおいて必要となる工学です。
分かりやすく言うと、ロケットや人工衛星、宇宙探査機などを研究・開発する学問です。

進歩が著しい分野であるため、様々な分野を結集した学問であるとも言えます。
そのため大学では非常に広範囲なことを学びます。

例えば、

  • 空気などの流体について研究する流体力学
  • 材料の変形や破壊について研究する材料力学
  • システムの挙動や安定性について研究する制御工学

などです。

近年では、スペースデブリ(宇宙ゴミ)の増加が注目されており、デブリ除去などに関連する研究も盛んです。

 宇宙工学はあくまで「工学」

よく勘違いする人が多いのが、「ブラックホールとかビッグバンとかの研究をするの?」という誤解です。

違います。そういうのは「宇宙物理学」みたいな学問です。
どちらかと言えばそういうのは工学部ではなく理学部の分野です。
宇宙工学はあくまで、宇宙に関連する「工学」なので、人間が作った機械や構造物を対象とします。

 かなり高度な研究分野です

宇宙工学を学ぶためには、様々な分野の学問の知識が必要になるため比較的かなり高度な学問であると言えます。
また、学生からはとても人気のある分野です。

実際大学入試では、航空宇宙工学科系の学科はそれ以外の工学部の学科に比べて偏差値が高く、入学難易度が高い傾向にあります。
難しいのは入学だけでなく、入学後も講義についていくのが精一杯という学生も少なくありません。

とは言え、めちゃくちゃ難解なことを学ぶかというとそういうわけでもありません。
制御系の講義とか、構造系の講義など色々な講義がありますが一つ一つをちゃんと理解するように勉強すれば大丈夫です。
ただ全て、数学や物理学などの基礎科目の知識がベースとして必要になるので、1・2年時にちゃんと基礎科目を勉強していないと後々どんどんついていけなくなるかもしれません。

宇宙工学で学ぶこと

前の章で、「宇宙工学は様々な学問を結集した高度な学問である」というお話をしました。
「じゃあ具体的にどんな学問を学ぶの?」というお話をします。
大学や研究室によってその範囲は異なりますが、例えばこんなことを学ぶよ~という例を紹介します。

また、本記事では宇宙工学に限らず航空宇宙工学で学ぶこととして扱います。
大学の講義では航空宇宙工学としてまとめて扱うことが多いためです。

流体力学

航空宇宙工学と言えば流体力学というイメージを持つ人は多いと思います。

流体力学は気体や液体などの「流体」の運動について扱う学問です。
航空宇宙工学では主に空気を扱うことが多いです。
流体力学には、どんな性質の流体を扱うかによっていくつかに細かく分類されます。

  • 粘っこい流体(粘性があると言います)なら「粘性流体力学
  • 高い圧力がかかる環境で、密度が変化する流体なら「圧縮性流体力学
  • 密度がほぼ変化しない流体なら「非圧縮性流体力学」(最もベーシック)

という感じです。

ちなみに粘性といってもスライムみたいに本当に粘っこいわけではないですよ。

色んな流体を扱うのは分かったけど、結局何をするための学問なの?という疑問に答えます。

ざっくり言うと、流体の流れによってどんなエネルギー変化が起きて、周りにどんな力が働いて、それによってどんな影響が出るかみたいなことを計算したりします。

例えば、車の車体周りの空気の流れと抵抗を調べることで、空気抵抗を減らして燃費を向上させるにはどんな形状がいいかみたいなことを研究したりします。(非圧縮性流体や粘性流体の領域)

参考:https://www.mr-haisyaman.com/car_air.html

また、ジェット機やロケットなどマッハを大きく超える環境下では、衝撃波がどの領域に発生してどのくらいの速度で伝わっていくのかといった影響を調べたりします。(圧縮性流体の領域)

材料力学

航空宇宙工学でこんなことやるんだ!って、少し意外でしたか?

材料力学は、材料に力が加わった時の変形や破壊について扱う学問です。
ロケットや航空機、人工衛星が十分な強度を持つために必要、と言われたら納得しますよね。

これらの物はいずれも、地上とは大きく異なる極限環境で、絶対に壊れてはいけないものです。
また、丈夫であればいい訳でもありません。
どんなに強い力がかかっても絶対に壊れないとしても、重すぎて打ちあがらなかったら意味が無いですよね。

つまり、材料力学が目指すのは「いかに軽くて丈夫なものを作るか」ということです。

具体的には、物体を梁という柱のような形状で仮定したときに、外から力がかかるとどのくらい変形するか、モーメントがどうはたらくか、ねじれはどのくらい起きるか、どう振動するか、みたいなことを計算したりします。

また、材料力学は航空宇宙分野以外でも、軽くて丈夫な車体を開発するために自動車産業などでとても重要な学問です。

制御工学

ロケットや航空機、人工衛星は金属の物体としてだけでなく、機械です。
だから当然、プログラムで動いているわけです。

「飛行機はパイロットが操縦するんじゃないの?」
飛行機で、人間が操縦する部分はほんの一部です。
今はほとんどを機械が自律的に制御しながら飛んでいます。
ロケットや人工衛星も同じです。

航空宇宙工学において制御工学は、
これらの機械の自律的な動作を実現し、様々な環境変化に対応するための安定性を実現します。

例えば、
外力などの外乱(物体の動きを邪魔するもの)を考慮して物体の運動方程式を立てます。

物体の運動がこの外乱によってどのくらい影響を受けるか、
どういう設計をすれば外乱の影響をなるべく受けず安定になるか、
安定にするには物体にどんな力(入力と言います)を与えればいいか、
といったことを計算します。

これを飛行機に応用すると、
風の強さが変化した時に飛行機の角度(ピッチなどと言います)をどれくらい変えれば安定飛行できるかといった制御や、
横風に対して安定な翼の設計ができたりします。

宇宙工学が学べる大学

宇宙工学は、大学では「航空宇宙工学」としてひとまとまりにされて学科が設置されていることがほとんどです。
宇宙工学を学びたいなら、工学部や理工学部の航空宇宙系学科を選びましょう。

詳しくは下の記事にまとめているので合わせてチェックしてください。

宇宙工学に向いている人の特徴

実際に私が名古屋大学で航空宇宙工学を専攻して、宇宙工学に向いていると思う人は次のような人です。

  • 宇宙開発に興味があって意欲的に学びたいと考えている人
  • 数学、物理が得意 or 好きな人

 ◎宇宙開発に興味があって意欲的に学びたいと考えている人

宇宙工学は一見華やかなことをやっているように感じますが、
実際に学ぶことや研究することは地道な努力や作業の積み重ねであることが多いです。

さらに内容は高度であるため、なんとなくで学ぼうとすると挫けることもあるかもしれません。
宇宙工学を学んでいける人は、学ぶモチベーションを保ち続けられる人です。

なので、将来宇宙開発に携わりたいとか、携わることはなくても宇宙開発を学びたいという人が、
宇宙工学に向いている人だと考えます。

さらに「宇宙工学を学びたい!」という、学ぶ意欲が溢れている人はぜひその進路に進んで学んで欲しいです。

実際、私も航空宇宙工学を専攻していて思ったのですが、
まわりには、本当に宇宙工学をやりたくて来ている人がとても多いように感じます。
宇宙工学が学べる大学はそんなに多くはないので、わざわざ県外から学ぶために来たという人が本当に多いです。

 ◎数学、物理が得意 or 好きな人

宇宙工学で学ぶ流体力学や材料力学、制御工学などでは、数学や物理の知識をふんだんに使います。
足し算ができないとかけ算ができないくらいの感じです。

数学や物理ができない人には向いてないと言いたい訳ではないですが、できる人が向いているのは明らかです。

例えば、制御工学では行列の計算は必須ですし、微分方程式も解けないと話になりません。

でも、「自分は数学も物理も得意じゃないから諦めよう…」と、やる前から諦めることだけはして欲しくないです。

得意ではなくても、好きならそれでいいと思います。
好きなことなら苦ではないので、十分やっていけると思いますし、そういう人は努力次第でいずれ伸びます。
「好きこそ物の上手なれ」です。

まとめ

  • 宇宙工学は、宇宙開発のための学問
  • 研究対象はロケット、航空機、人工衛星
  • 幅広い分野が結集した高度な学問
  • 流体力学、制御工学、材料力学などを学ぶ
  • 宇宙工学を学びたいなら航空宇宙系の学科がある大学を選ぼう

参考になったでしょうか。
航空宇宙系の学科は基本的にどこもレベルが高いです。
もし夢を持っているなら、叶えるために最後まであきらめずに勉強頑張ってください。
必ずいつか、あの時頑張ってよかった思える日が来ます。
未来の宇宙開発を担う若い芽を私は応援しています。

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この記事を書いた人

ENOのアバター ENO 宇宙工学出身ガジェットブロガー

本業はSEのガジェットブロガーです。
大学院で宇宙工学を専攻していました。ガジェットスペースの「スペース」はその意味も含んでいます。
ロマンに溢れるようなデスク環境を育てています。

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